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PROJECT STORY

STORY #2
顔が見え、声まで聞こえてくるような―――。
ワインを人から人へ、手渡しできるお店に。

株式会社小松屋

岡田 直晃様 / 専務取締役

株式会社いつも

小堀 幹太 / 事業推進本部 第一グループ

大阪・河内にある小松屋様。「ほんまもんの『人』とほんまもんの『商品』を通じて、 もっともっともっと笑顔を。」を理念に掲げ、酒類の卸販売からスタートしました。今では自らフランスに生産拠点を構え、本格派のナチュラルワインを企画・製造し、さらには酒屋店や飲食店など多角的な事業展開をしています。単なる利益追求だけではなく、 “生産者や自分たち、ひとの想いを届ける”ことに、徹底してこだわりを持つ同社。そのハートフルな熱量を、どのようにECで表現していくのか? 理想実現へのあくなき探求が始まりました。

ワインは“わが子”。
売ることが、最終目的じゃない。

はじめに、小松屋様とitsumo.の関係性などを教えてください。

小松屋 岡田さん

小松屋とitsumo.さんとのお付き合いは長いですねぇ。うちの代表 藤田とitsumo. 坂本社長との繋がりは、かれこれ30年弱と聞いてます。弊社のコーポレートサイトの立ち上げ時にも坂本さんにアドバイザーとして入っていただき、弊社が大事にしている「ほんまもん」という言葉がしっかりと前面に出るかたちになりました。今回のEC強化でも、その根本はブレずに変わっていません。

itsumo. 小堀

ほんまもん。小松屋さんらしい粋な言葉ですよね。仕事中にみなさんとお話をしていると、本当にワインへの愛がこれでもか、といつも伝わってきます。

小松屋 岡田さん

そもそもお酒を売る、というのは、ほんまもんを届けるための、手段の中のひとつだと思っています。
すべてにおいて中心にあるのは、やっぱり「人」なんです。ワインの原材料となるブドウを、一房一房丹精込めて育てあげる生産者さんの想い。商品を買っていただいたお客様が、大切な人とグラスを傾ける時間。そこに真剣に向き合うことで、私たち小松屋の社員たちの人間性も磨かれていきますから。

itsumo. 小堀

ではもうひとつ、このページをご覧の方々へ、「なぜ小松屋さんが卸売から、ナチュラルワインの製造・自社販売の領域へ、ビジネスを展開したのか?」をご説明いただいてもいいですか。

小松屋 岡田さん

これはもう、プライドでしょうか。純粋に、美味しいワインを届けたいじゃないですか。私たちの明確な基準として、「自分の大切な人に飲んでほしいものしか売らない」と決めていまして。
生産者の方々って、本当にものすごい情熱を注いでブドウを育ててくれているんですよ。昔、代表がフランスへ訪れていた際に、生産者さんと食事をしていて。そしたら急にスコールが降ってきたとたん、外へ飛び出したと思ったら、雨の中でずぶ濡れになりながらブドウを守っていたそうで。その姿に感銘を受けたと聞きました。僕らはその想いの橋渡し役になりたい、と思ったのが始まりです。

itsumo. 小堀

普通に考えたら、ECビジネスは売れればOKとなると思うんですけど。小松屋さんはそうじゃない。売れたその先に、どうやって飲んでもらうか? をすごく大切にされていらっしゃいますよね。

小松屋 岡田さん

尊敬すべき生産者さんたちが育てた原材料をもとに、私たちは幾度も幾度も時間をかけて試行錯誤しながら、自分たちでワインを開発してきました。 “わが子”のようなもんです。その子らを送り届けた先のことを考えてしまうのは、親としては必然なんですよね。ボトルが注がれる場面が、いつもしあわせな場所であってほしいと思っています。

まるで手紙交換をするように。
ECでも変わらぬ、こころ通う接客を。

プロジェクトの概要についてお聞かせください。

itsumo. 小堀

ビジョナリーな経営をされる小松屋さんの商品を、自社ECサイトを中心にして全国に広めていくのが目的。当社のお客様の中でも1、2を争うほどに、想いの強いみなさんですからね。私はコンサルなので当然、数字は追い求めなきゃいけない。しかし同時に、いやそれ以上に理想も追求する。一筋縄ではいきません(笑)!

小松屋 岡田さん

あはは!小堀さんは新卒入社でいきなり私たちの担当でしたから、大変だと思います。でも本当に心強いです。というのも、このプロジェクトが始まったのは、ちょうどコロナ禍のまっただ中で。それまではECに力を入れてこなかったので、「え、なにからやったらいいの?」と、右も左もわからない状況でした。

itsumo. 小堀

岡田さんだから率直にお伝えしますと、私が参加した当初は「もったいないな」と感じていました。せっかく素晴らしい想いをもつ小松屋さんなのに、それがECサイトでは5%ほどしか伝えられていない印象がありました。できることはたくさんあるな、と。

小松屋 岡田さん

完全な赤点ですね(笑)!でもその通りで、私たちの想いも商品も、ほんまもんの自信はある。けれど、それをどうやってECで伝えていくかはド素人ですからね。いつもさんの力をお借りしながら、地道にサイト改善をしていくことで、今では当初の10倍くらいの売上をアベレージで出せるくらいには育ってきました。

どのような取り組みをしたのですか。

itsumo. 小堀

アクセス数を伸ばすためのSEO対策、またサイト内にユーザーがほしい情報が載っていない、決済手段が少ない…などといった基本的な対策から進めていきました。結果、今ではGoogleの自然検索などでも上位表示されるようになり、売上改善につながりました。

小松屋 岡田さん

おかげさまでECも軌道に乗ってきましたね。数値目標はもっと先にありますが、私たちとしてはそもそも“ただ売れればいい”とは思っていません。
酒屋のリアル店舗でも、常に生産者さんの想いなどまでお伝えすること。また、お客様がどういったシーンで誰と一緒に飲んでいただくのか。そういったワイン造りの背景と、買っていただいた先にある未来までをお客様と共有できるよう、コミュニケーションを大事にしています。

itsumo. 小堀

ECサイトとしての効果改善なら、当社以外のECコンサルだって当然対応する常套手段です。私が貢献すべき使命はもっと深い部分にある。いちばん悩んだのは、「小松屋さんが大切にする想いがどうすれば伝わるか?」ですね。これが難しい…。
まずはユーザーがECサイトで目に留まりやすい、視覚的な部分から着手しました。それまではテキスト情報メインで、ほとんどビジュアル(画像)がありませんでした。小松屋さんの想いを伝えるためにも、こだわりの商品画像と、スタッフのお人柄が伝わるような写真を多く載せるようにしました。

小松屋 岡田さん

始めから一貫してめざしたのは、 “人の顔が見えるECサイト”です。でももちろん数字を無視するわけにはいかない。なかなか無茶なリクエストをお願いしていました。
小堀さんにはすこしでも私たちのことをわかってもらおうと、大阪まで来ていただいて、我々が運営している酒屋の見学や、飲食店でご一緒にワインを愉しんでいただきました。

itsumo. 小堀

ワインもお食事も本当に美味しかった。ありがとうございます!

小松屋 岡田さん

やっぱり人のなりや想いって、生で体感していただかないと伝わりませんよね。私たちもただ難しいオーダーを押し付けるのは嫌ですから、できる限りのことはしていこうという姿勢で向き合っています。

itsumo. 小堀

はい。本当に岡田さんをはじめ、貴社のみなさんがあますことなく想いを伝えていただいたので、短い期間の中で小松屋さんへの理解度はかなり深まったと思います。インプットを活かし、改めてアイデアを考え直しました。
そのうえでもっとも重要なポイントだと感じたのは、以前から取り組んでいた「マリさんのおまかせワインセット」。これは小松屋さんを長年支えてきた、EC部門のマネージャーである中川マリさんが、お客さんのご要望に応じて、1本ずつワインを選んでお届けするセット販売です。

小松屋 岡田さん

そうですね、中川のおまかせセットはうちの看板メニュー。小松屋らしさが体現されていると思います。約500種類ある当店のナチュラルワインから、お客様のお好みに近いものをお選びします。また、商品の配送時には、それぞれのワイン名と紹介文、ひと言メッセージを中川の直筆で添えています。

itsumo. 小堀

本当にステキですよね。私もマリさんセレクトのいちファンとして、15,000円セットのリピーターですから。直筆で一件一件メッセージを書いているのもすごいことなのですが、その前段階の注文後のやりとりに、もっとも小松屋さんらしさが溢れています。
ECからの注文画面で、ご要望のフリーコメントが書けるのですが、注文後の返信でもマリさんが、たとえば「どんな人と飲むんですか?」みたいにラリーを重ねながら、丁寧にコミュニケーションをとったうえでセレクトされています。まるでお客様と手紙で文通をされているような、そんな温かみのあるやりとりで私も勉強になっています。

小松屋 岡田さん

このおまかせセットの設計は、小堀さんにもだいぶアドバイスをいただきましたよね。
「注文する側も、どんなリクエストをしたらいいかイメージがつきにくいはずなので、具体例をいれましょう」とか、「家飲みでのパーティーシーンを連想できるような写真も使ったらどうですか」とか、「店舗受取できることも推したほうがいいですよ」などなど。そのおかげで新規注文の獲得とリピート率も絶好調です!

itsumo. 小堀

先日マリさんとお話をしたら、「注文が多すぎて、お手紙を書くのが追いつかない〜」と悲鳴をあげていました(笑)。

小松屋 岡田さん

まあ、しあわせな悲鳴ですね。それでもこのスタイルを頑固に貫くのもまた、小松屋らしさです!

いつか、店舗とECの隔たりを越えたい。

現状、残っている課題はなんでしょうか。

小松屋 岡田さん

スタート時は5点だったけど、今は何点くらいまで達成できただろうね。70-80点?

itsumo. 小堀

最近では購入後のレビューも増えてきて、それに対してもちゃんと心を込めた返信を毎度していただき、ファン化も進んでいますよね。小松屋さんらしさは十分に表現できてきたと思っています。あとはここから売上をどう伸ばしていけるか…。それも含めて75点くらいなんですかね?

小松屋 岡田さん

ええ、そうですね。あとは100点超えを狙うには、社内の人材教育も必要だと思っています。
まず1つ目は、我々みんなの意識を変えること。お伝えしてきた通り、すごく理想を大切にする集団ですから。でもビジネスである以上は、売上を増やしていかないとみんなの給料を賄えない。これを天秤にかけながらバランスよくやっていくには、これまで以上に数字にもこだわっていく必要がありますね。
2つ目は、自社内にEC人材を育てること。これまで中川に頼ってきた部分もありますが、それにも限界があります。今は若手の採用を積極的に行ない、新たなポジションの中心人物として育てていこうと考えています。そこでもぜひ、小堀さんのお知恵も貸していただきたいところです。

itsumo. 小堀

もちろんです。むしろ私が小松屋さんに入社したいくらいですから!

小松屋 岡田さん

それは坂本社長に怒られる(笑)。
でも小堀さんに限らず、いつも社の方々はそれくらい小松屋のことを真剣に考え、好きになってくれようとしているのが伝わってくるから、信頼関係が成り立っているんだと思っています。今後もお互い意見をぶつけ合いながら、さらに「小松屋らしいECってなんだろう?」というのを突き詰めていきたいですね。

今後は、なにをめざしていきますか。

itsumo. 小堀

私としては、これまでのECでは考えられなかった、真新しいUXなどにもチャレンジしていきたい気持ちがあります。普通のサイトでは表現できないような接客や、何このサイト!?という驚きのある仕掛けをつくれたら最高ですね。

小松屋 岡田さん

いいですね、いずれバーチャル店舗とかもやってみたいですし、リアル店舗を絡めたデジタル施策もやってみたい。まだまだ挑戦できることはたくさんありそう。

itsumo. 小堀

あとは、これから売上を伸ばしていくには、ECサイトと直接的には関係がない部分にも首を突っ込んでいく必要があると思っています。たとえば売れ筋を見据えたうえでの、在庫ストック量の確保などといったご相談をすることもあるかもしれません。また岡田さんもおっしゃるとおり、せっかく飲食店も展開されていますし、その他ワインフェスなどといった、オフラインとの連携でもなにかできることはあるんじゃないかと。

小松屋 岡田さん

リアルとECの両店舗ともに、それぞれの利点があると思います。それがシームレスになることで、新しい価値を生み出していけたらいいですよね。

itsumo. 小堀

簡単なことではありませんが、芯のブレない小松屋さんとなら、その道中もまた楽しめる。夢がふくらみますね!

小松屋 岡田さん

ありがとうございます。それじゃあ夢のつづきは、乾杯のあとでいかがでしょう(笑)。
まだまだ私たちの挑戦はこれから。引き続き、よろしくお願いいたします。

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